今日取り上げるのは、兵庫県姫路市で、自宅で同居する内縁の夫を包丁で切りつけ殺害しようとした疑いで40歳の女が逮捕された事件についてです。
夫は脇腹や手に軽傷を負ったとのこと。
警察によれば、女の長男(17)と夫が口論となり、仲裁に入った際に台所から包丁を持ち出したということです。
取り調べに対し「殺すつもりはなく、子どもに手を上げられそうになったので守ろうとした」と語っているとのこと・・・。
事件の概要をまとめると共に、正当防衛が認められる条件についても見ていきたいと思います。
最後までお付き合いください!
兵庫県姫路市 内縁の夫切りつけ 殺人未遂事件の概要は?
神戸新聞NEXTの報道内容を元に、事件の概要をまとめます。
姫路市に住む会社員の女(40)は、2021年2月5日午後11時55分頃、自宅で同居する内縁の夫(40)を包丁2本で切りつけ殺害しようとした疑いがもたれている。
警察によると、女の長男(17)と夫が口論となり、仲裁に入った際に台所から包丁を持ち出したとみられる。
同署の調べに「殺すつもりはなく、子どもに手を上げられそうになったので守ろうとした」と容疑を一部否認している。
夫は脇腹や手に軽傷を負った。
警察は6日、殺人未遂の疑いで女を逮捕した。
引用 https://news.yahoo.co.jp/articles/19ce0a49034cb9783b12a692512f735e4b3fc94d
母親が自らの手で我が子を殺めてしまったというニュースが多い中、この女性は子供を守ろうとしたわけですよね。
どんな喧嘩だったかわかりませんが、「正当防衛」にはならないのでしょうか。
ネットではこんな声が上がっていました。
「子ども守ろうと」内縁の夫切りつけ 会社員の女逮捕(神戸新聞NEXT) https://t.co/DUSJ3GYtMI
本当に口論だけだったのかな?母ちゃんは内縁の夫に子供が殺されると思って切りつけたんだよね?子供守ったんだよね?逮捕されるなら内縁の夫もじゃね?
— あん32 (@32_seek) February 6, 2021
「子ども守ろうと」内縁の夫切りつけ 会社員の女逮捕(神戸新聞NEXT)
>同署によると、女の長男(17)と夫が口論となり、仲裁に入った際に台所から包丁を持ち出したとみられる。
あーあ
実父じゃないってことだよね
子どもに対する独占欲でもある? https://t.co/rfkUTEtJKC— Regain Access (@PA_ischildabuse) February 6, 2021
「子ども守ろうと」内縁の夫切りつけ 会社員の女逮捕 #SmartNews
こう言うのって、切りつけたのは悪いけど仕方なかったんだし、軽症なら逮捕じゃなくてお金払って解決できないのだろうか。 https://t.co/kmWzgTlQi4— なおこ (@Nao5_44ma2) February 6, 2021
現場について
事件は兵庫県姫路市で起きました。
問われる罪は?
女は殺人未遂の疑いで逮捕されました。
(殺人)
第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。(未遂罪)
第二百三条 第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。(引用元:刑法 第203条)
正当防衛が認められる条件とは?
子供の命の危険を感じ、守ろうとしてやむを得ず包丁を持ち出したのだしたら、それは正当防衛になるのではないの?
・・・と、素人の目線ではそんな風にも思われるのですが、女は「殺人未遂」で逮捕されています。
では、正当防衛とはどのような条件を満たせば認められるのか。
正当防衛については、刑法36条1項に次のように定められています。
「急迫不正の侵害に対して自己または他人の権利を防衛するため、やむを得ずした行為」
つまり、犯罪から自分や他人の身を守るために、やむを得ず行った行為のことを意味するわけですね。
そして、正当防衛と認められるためには以下5つの項目を全て満たしていることが必要になります。
刑法36条の内容にそって正当防衛と認められる条件を求めると、以下の5つの項目が判断ポイントになります。
- 不正の侵害であるかどうか
- 急迫性があるかどうか
- 防衛行為の必要性があるかどうか
- 防衛行為の相当性があるかどうか
- 防衛の意思があったかどうか
これらの5つ全てに当てはまらないと、正当防衛とは認められません。
正当防衛は本来刑事責任を負うべき行為について、違法性を否定する概念ですので、そのハードルは相当高くなっています。
引用 https://keiji-pro.com/columns/10/
たとえば、内縁の夫の暴力などがあった場合は「生命、身体、財産などに対する加害行為」と判断され、「不正の侵害」にあてはまります。
また、その夫が刃物を持って暴れていた等、現在進行形で権利侵害行為が切迫していた場合は「急迫性があった」とみなされます。
ただ、逃げる余地があったのにこちらから積極的に攻撃していった場合は「防衛の意思」が否定され、同時に「防衛の必要性」もなかったとみなされてしまうでしょう。
本当に「守るため」だったのか?それとも、積極的に傷つけてやろうという意思があったのか。
この辺は、本人だって判断が難しいですよね。その時はいっぱいいっぱいだったでしょうし・・・。
内縁の夫と息子の「口論」がどのようなレベルのものだったのか。
それによって女に課せられる罪も変わってくるのではないでしょうか。
まとめ
兵庫県・姫路市で起きた殺人未遂事件についてまとめました。
ポイントを整理します。
- 姫路市に住む会社員の女は、2021年2月5日深夜、自宅で同居する内縁の夫を包丁2本で切りつけ殺害しようとした
- 動機は、女の長男(17)と夫が口論となったことで、女は仲裁に入ろうとして包丁を持ち出したと見られている
- 「正当防衛」と認められるための条件は非常に厳しい
日が変わる頃の出来事ですし、”内縁の夫”はもしかしたらお酒を飲んでいた可能性もありますよね。
酒を飲むと暴れるタイプの男性だったとしたら?
ただの口論仲裁で包丁を持ち出すなんてよほどのことですし、もしかしたら以前から暴力などがあったのかもしれません。
進化心理学の観点から考えると、子殺しをする親のほとんどは、被害者となった子供と遺伝的なつながりのない義理の親。
これは他の多くの動物でも見られる傾向であり、人間だけに限ったことではありません。
今回の事件でも、息子と内縁の夫の間に普段からなにかしらの確執があったのではないでしょうか。
いずれにしても、こうなってしまったらもう3人では暮らせませんよね。
結局この女性は、女であることよりも母であることを選んだ。
ここ数年では珍しいケースの事件だったと思います。
また新しい情報が入り次第、追記していきます。
最後までお読みいただきありがとうございました!