今日取り上げるのは、2014年、東京女子医大病院で手術を受けた2歳の男の子が鎮静剤を大量に投与されて死亡した事故についてです。
東京地検は、治療を担当していた麻酔科医、小谷透被告(61)と福田聡史被告(39)を業務上過失致死罪で在宅起訴しました。
亡くなった孝祐くんは首にできた腫瘍を切除するために手術を受けており、父親は「メスも使わない、たった7分の手術」と説明を受けていたとか。
それがなぜこんなことになってしまったのでしょうか。
事件の概要をまとめると共に、鎮静剤「プロポフォール」の危険性についても見ていきたいと思います。
最後までお付き合いください!
東京女子医大病院 2歳児死亡事故の概要は?
テレビ朝日の報道内容を元に、事件の概要をまとめます。
2014年、東京女子医大病院で2歳の男の子(孝祐くん)が手術後に鎮静剤「プロポフォール」を大量に投与されて死亡する事故があった。
東京地検は中央集中治療部で治療を担当していた麻酔科医で副運営部長だった小谷透被告(61)と研修医だった福田聡史被告(39)を業務上過失致死罪で在宅起訴した。
2人は、プロポフォールの継続投与で男の子の体調に異変が起きたにもかかわらず、適切に対応しなかったと見られている。
遺族の父親(51):「医師たちには本当のことを法廷で話してほしいなと思います。それが子どもに対する供養になると思うので、嘘はついてほしくないです。極めて悪質なので、私は実刑にしてほしい」
遺族は被害者参加制度を使って裁判に参加したいと話している。
引用 https://news.yahoo.co.jp/articles/29f667ff638816ec2d8efb0a745298bdd409848b
参考動画はコチラ↓↓
続いて、起訴された両被告についての情報です。↓↓(いずれも、「2021年現在」の参考サイトに顔写真も掲載されていました)
被告①
名前 小谷透
年齢 61歳
職業 麻酔科医
事件当時の役職 副運営部長
経歴 コチラのサイトに情報が掲載されています。
Facebook 同姓同名のアカウントが複数ありましたが、本人のものと断定できるものは見つかりませんでした。
2021年現在 昭和大学病院の集中治療科 診療科長を務めていらっしゃるようです。
過去の所属として「2011年度: 東京女子医科大学, 医学部, 准教授」とあるので間違いないでしょう。
被告②
名前 福田聡史
年齢 39歳
職業 麻酔科医
事件当時の役職 研修医
Facebook 同姓同名のアカウントが複数ありましたが、本人のものと断定できるものは見つかりませんでした。
2021年現在 国際医療福祉大学 病院助教を務めていらっしゃるようです。
「元東京女子医科大学病院集中治療部」とあるので間違いないでしょう。
当時、父親は「メスも使わない、たった7分の手術だ」と説明を受けており、医師から「念のため」と言われ、集中治療室(ICU)に入ったのだそうです。
「失敗するかもしれません」と言われた手術ならまだしも、たった数分で終わると言われた手術で我が子が命を落とすなんて、親として納得できないのは当然です。
また、個人的には、過去にこのような重大事件に関与していても、今も普通に医療現場に立ち続けることができるんだ・・・ということが驚きでした。
ネットではこんな声が上がっています。
(Yahoo!ニュース コメント欄より引用)
これからどう育っていくのか楽しみになる時期よね。
あれしようこれしようって。涙出ちゃう。
親御さんの無念考えると。無念って言葉では表せないね。
私なら狂っちゃうな。
他人事だから誰にでもミスはある、医師も責めるなと言える。
我が子にそんな事が起きれば…
この方と同じだな。許せない。絶望、怒りしかないだろう。。。お子さんにはご冥福をお祈りします。
プロポフォールは、使用し過ぎると心停止を起こすと手術前に説明があるくらいです。
医師という資格を持っていながら、何故危険だと分かっている鎮静薬を多量に使用したのでしょうか?
きちんと用量を守っていたら、失くさずに済んだ大切な命です。
執刀医、研修医の方には、是非亡くなられた子供さんの為にも、これからも決して癒える事のない悲しみの中で生きなければならないご家族の為にも、必ず真実を法廷で明らかにして欲しいですね。
いや、するべきです!!
現場について
事件は東京女子医大病院で起きました。
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問われる罪は?
両被告は業務上過失致死罪で在宅起訴されています。
(業務上過失致死傷等)
第二百十一条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。(引用元:刑法 第210条)
プロポフォールとは?あのマイケルジャクソンも同じ薬で亡くなっていた!
東京女子医大病院の公式サイトには、「予期しない死亡事例について」というページが設けられており、2014年の事故について以下のように記されています。
2014/6/5:小児への鎮静用剤が使用された患者さまへの対応について(1)
平成26年6月4日の新聞各紙にて取り上げられた当院での小児への鎮静用剤使用に関し、患者さまおよびご家族の皆様ならびに関係者の皆様に多大なご心配をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。
当院では事故の重大性を鑑み平成26年3月5日より、鎮静用剤(プロポフォール)は小児の集中治療における人工呼吸中の鎮静を目的には使用しておりません。
過去に於いてこの鎮静用剤が同じ目的で使用された患者さまには、個々に当院からご連絡・対応しております。
また、平成26年2月21日に当院にてお亡くなりになった2歳児の事例につきましては、医療安全管理特別部会にて行なった調査結果と再発防止策について纏めた報告書を厚生労働省およびご遺族に報告し、内容について検証頂いているところであります。
引用 http://www.twmu.ac.jp/info-twmu/news/news-20140605.html
今は使われていないという、鎮静用剤「プロポフォール」。
そんなにヤバい薬なの!?・・・と調べてみたところ、あの故マイケル・ジャクソンの死因としても報じられていることがわかりました。
プロポフォールとは、病院で使用される即効性の鎮静剤で、麻酔の導入などに用いられる静脈投与剤だそうです。
製薬大手アストラゼネカが製造し、「ディプリバン(Diprivan)」という名前でも販売されています。
マイケル・ジャクソンの急死から2カ月後の09年8月、ロサンゼルス郡検死局は死因を「急性プロポフォール中毒」と断定した。
過失致死罪で現在公判中のマレーは、マイケルの睡眠を助けるために投与したと主張しているが、プロポフォールは睡眠導入剤ではない。
「適切な使用範囲から懸け離れた用法だ」と、麻酔専門医のビバリー・フィリップは言う。
(中略)
麻酔薬としてのプロポフォールは脳の受容体に働き掛け、無意識状態をつくり出す。
同時にドーパミンの分泌を促し、セックスやコカインと似た快楽を得ることができる。
陶酔状態に陥ったり性欲を抑えられなくなったり、幻覚を見る人もいる。
即効性のあるプロポフォールは外来麻酔として広く使われているため、投与された経験がある人は大勢いる。
経験者の約3分の1は記憶がなく、約3分の1は夢を見たが内容までは思い出せないという。
残りは「鮮明で、時に性的な夢」を見ていると、ブライソンは言う。薬が切れた後は、熟睡した後のように活力が湧く人もいる。
引用 https://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2011/11/post-2339_2.php
海外では、「頭痛で処方された後でやみつきになり、獣医師から入手して過剰摂取で意識不明になった」なんて人もいるみたいです。
そんないわくつきの薬剤だったのですね・・・。
効果が出るのが速く、投与をやめるとすぐに目が覚める特長があるとされる。
海外で子供の死亡例が報告された。
引用 https://www.nikkei.com/article/DGKKASDG21H18_R20C15A7CR0000
こんな情報もありますので、使用には最大限の注意を払うべきであったし、実際に医療現場ではそうしていたはず。
それなのになぜこんな事故が起きてしまったのか。
孝祐くんがすぐに起きてしまいそうになったから?
・・・今後の裁判に注目していきたいと思います。
まとめ
東京女子医大病院で起きた2歳児死亡事故についてまとめました。
ポイントを整理します。
- 2014年、東京女子医大病院で2歳の男の子(孝祐くん)が手術後に鎮静剤「プロポフォール」を大量に投与されて死亡する事故があった。
- 東京地検は中央集中治療部で治療を担当していた麻酔科医二人を業務上過失致死罪で在宅起訴した。
- プロポフォールはマイケルジャクソンの死因とも言われている薬剤で、海外でも死亡事故が起きている
人間ですから、医師と言えども間違いはあります。
それを責めることは誰にもできないでしょう。
しかし、真実を語らないまま医療現場に立ち続けるというのは、個人的は「不誠実なのではないか」と感じました。
ご遺族の方が強い怒りを感じているのは、そういった不誠実さに対してなのではないか?という気もします。
改めまして、亡くなった孝祐くんのご冥福をお祈り申し上げます。
最後までお読みいただきありがとうございました!