今日取り上げるのは、宮城県仙台市で83歳の女性が85歳の夫を刃物で刺して殺害した事件についてです。
仙台市宮城野区福室の佐々木甲さん(85)が亡くなり、妻である佐々木美千代容疑者(83)が殺人容疑で緊急逮捕されました。
「夫の看病が辛かった」
美千代容疑者はこのように語っているとのこと。
事件の概要をまとめると共に、老々介護の現状と課題についても見ていきたいと思います。
最後までお付き合いください!
宮城県仙台市 老々介護疲れ 夫殺害事件の概要は?
仙台放送、読売新聞オンラインの報道内容を元に、事件の概要をまとめます。
仙台市宮城野区福室、佐々木美千代容疑者(83)は自宅の市営住宅で夫の甲さん(85)を刃物のようなもので首を刺して殺害した疑いがもたれている。
2021年1月22日午後2時半頃、美千代容疑者が「夫を刺して殺した」と110番し、現場に駆けつけた同署員が、布団をかぶせられている甲さんを発見した。
警察の調べに対し美千代容疑者は容疑を認めていて、「夫の看病をすることが辛かった」と供述している。
- 近くに住む男性の証言:「奥さんが声を荒らげ、ケンカしている声が聞こえたこともある」
- 夫婦を知る女性の証言:「仲良い、いつも二人で買い物に行っていた」
引用 https://news.yahoo.co.jp/articles/98e9faf482066efc3d0d792f240709bfedb1a878
引用 https://news.yahoo.co.jp/articles/750513f781cf61c5a95e579b41edec586bcf5df7
参考動画はコチラ↓↓
83歳が85歳を介護していたのですから、これは間違いなく「老々介護」ですよね。
若い人であっても、人ひとりを介護するのは本当にしんどいことです。
肉体的にも精神的にもかなりきつかったと思います。
歳をとると脳の老化により頑固になったりイライラしやすくなったりする男性も多いので、正直、自分も同じ立場だったら夫を殺めてしまうかもしれません。
ネットではこんな声が上がっていました。(Yahoo!ニュース コメント欄より引用)
もう愛は与えても帰ってくることもないような相手に扶養義務だけでおむつかえたりケツ拭いたりするのは限界だったのだろう。
>夫婦を知る人「仲良い、いつも二人で買い物に行っていた」
って、結局何も知らなかったってことですよ
周りはいったい何をしていたのか
これからは
「最近見ないあのお爺さんはどうしてるかな」
と同じように
「頑張っているあのお婆さんは大丈夫かな」
って、介護する人にも重大な関心を寄せようよ
な、みんな
現場について
事件は仙台市宮城野区福室の高砂市営住宅の一室で起きました。
問われる罪は?
美千代容疑者は殺人の罪に問われています。
(殺人)
第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。(引用元:刑法 第199条)
老々介護の現状は?課題や解決策についてもチェック!
老々介護とは、「65歳以上の高齢者を、同じく65歳以上の高齢者が介護している状態」のことです。
まさに今回の事件はこのケースに当てはまるわけですね。
厚生労働省のまとめ↓↓から分かる通り、在宅介護をしている世帯の約半数は老々介護の状態にあるのが今の日本の現状です。
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引用 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/dl/16.pdf
上記は2013年のデータなので、2021年の今は高齢化も加速しもっと深刻な数字になっているのかもしれません。
我が家も両親は離れて場所に住んでおり、二人とも65歳以上の高齢者。
どちらかが要介護の状態になれば、老々介護の状態になってしまう可能性があるので他人事ではありません。
続いて、老々介護の問題点について。
老老介護の問題点
要介護者の介護度にもよりますが、一般的には高齢になるほど体の自由が利かなくなり、介護者の肉体的な負担が増えていきます。
プロの介護士でさえ腰痛が職業病の一つとされるほどなので、介護者が高齢の場合はさらに大変であることが想像できるでしょう。
また、精神的な負担もあり、そのストレスが被介護者への虐待行為に結び付くおそれがあります。
高齢者が高齢者を介護している場合、肉体的・精神的な限界が来て、介護者本人も第三者のサポートがないと生活できない、いわゆる「共倒れ」状態になることも考えられます。
強いストレスは認知症を引き起こす原因になり得るという研究結果もあり、周囲から孤独している老老介護ほど、認認介護に陥りやすいとされているのです。
引用 https://www.irs.jp/article/?p=191#:~:text=まずは、老老介護と認,ているのでしょうか。&text=65歳以上の高齢,などのケースがあります。
老々介護だけでも大変なのですから、なんとしても「認認介護」になるのは避けたい。
そのためには、「孤立させないこと」が一つの鍵となるでしょう。
ただ、他人に助けを求めることへの抵抗感があったりする方も多いので、なかなか第三者には現状を打ち明けられないという方と思います。
介護は、どうしても入浴や排せつなどデリケートな領域のケアも発生しますので、なおさらのこと。
また、金銭的な理由で公共のサービスを頼ることをためらってしまう方も多いようです。
若い人であれば、サッとスマホで調べて情報を入手できますが、高齢者の場合はそれも難しい。
やはり、子どもや親族が気にかけてあげなければ孤立は防げないのではないでしょうか。
ただ、頼れる身内がいなくても、老々介護になる前に手を打つことはできます。
①介護サービスについて調べる
医療保険は保険料さえ払っていれば利用することができますが、介護保険サービスは、ただ保険料を納めるだけでは利用できません。
「市区町村の役所の窓口で要介護認定を申請し、要介護度の認定を受け、サービスを利用するためのプランを立てる」という手順が必要です。
要介護認定されれば、自己負担約1割~2割で介護サービスを利用できるようになります。
地域の「高齢者総合相談センター」に相談すれば、ケアマネジャーが限度額を考慮したケアプランを立ててくれるので、悩んだときは相談しましょう。
②少しでも違和感があったらすぐ病院へ
軽い症状でも違和感があるときは小まめに病院へ行き、要介護度が上がるきっかけを見逃さないことが大切です。
老老介護の場合は、病院が介護者側の容体も気にかけ、チェックしてくれるでしょう。
定期的に病院で人と話す機会をつくっておくと、介護者に認知症の症状が出たときも早めに気付いてもらうことができ、適切に対処することができます。
引用 https://www.irs.jp/article/?p=191#:~:text=まずは、老老介護と認,ているのでしょうか。&text=65歳以上の高齢,などのケースがあります。
”通い”で介護サービスやリハビリを受けることができる「デイケア」「デイサービス」のように、費用を抑えて利用できる施設もありますし、認認介護のケースは優先的に入所させてくれる施設もあるようです。
金銭・体力・精神の限界を迎えてしまう前にやれることはありますので、まずは役所にアクセスしましょう。
身近に老々介護予備軍の高齢者がいる方は、そのことを本人たちが元気なうちに何度も伝えておくことが大事だと思います。
まとめ
仙台市で起きた老々介護世帯の殺人事件についてまとめました。
ポイントを整理します。
- 仙台市宮城野区の佐々木美千代容疑者は2021年1月21日、自宅で夫の甲さんを刃物のようなもので首を刺して殺害した
- 夫婦は老々介護の状態にあり、美千代容疑者は「夫の看病をすることが辛かった」と語っている
- 在宅介護の約半数強は老々介護の状態にあり、孤立しやすい状態にある
個人的に印象深かったのは、近所の方の証言です。
激しい喧嘩をしていたと語る人もいれば、仲睦まじい姿を目撃している人もいる。
どこの夫婦にもそんな二面性はあるかと思いますが、実際は近所の人の証言が二人のリアルな姿だったのではないかと思えてなりません。
「知り合いの前ではお互いに感情をコントロールして仲良く見せられるけど、家に帰るとぶつかってばかり」
こういった”無理”が積もり積もって、「殺害する」という犯行につながってしまったという側面もあるのではないでしょうか。
改めまして、甲さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
最後までお読みいただきありがとうございました!