今日取り上げるのは、ソフトバンクの高速・大容量通信規格「5G」に関する営業秘密を不正に持ち出したとして、楽天モバイルに転職した45歳の男が逮捕された事件についてです。
不正競争防止法違反(営業秘密領得)容疑で逮捕されたのは、横浜市鶴見区仲通、合場邦章容疑者(45)。
合場容疑者は、営業秘密に当たるネットワーク情報ファイルを電子メールに添付して自分宛てに送信して複製し、不正に持ち出した疑いが持たれています。
警察は、業界内で過熱する競争が事件の背景にあると見て捜査しているとのこと。
事件の概要をまとめると共に、実は身近にもいるかもしれない産業スパイの脅威についても見ていきたいと思います。
最後までお付き合いください!
ソフトバンク 5G営業秘密持ち出し事件の概要は?
読売新聞オンラインの報道内容を元に、事件の概要をまとめます。
横浜市鶴見区仲通、合場邦章容疑者(45)は、ソフトバンクに勤務していた2019年12月頃、不正な利益を得る目的で同社のサーバーに接続し、営業秘密に当たるネットワーク情報ファイルを電子メールに添付して自分宛てに送信して複製し、不正に持ち出した疑いがもたれている。
警視庁は2021年1月12日、合場容疑者を不正競争防止法違反(営業秘密領得)容疑で逮捕した。
合場容疑者は2004年7月にソフトバンクに入社。通信の有線ネットワークの管理などを行う「線路主任技術者」の国家資格を持ち、「伝送エンジニア」として勤務していた。
その後2019年12月31日付でソフトバンクを退社し、翌日の2020年1月1日に楽天モバイルに転職していた。
警視庁は業界内で過熱する競争が事件の背景にあるとみている。
引用 https://news.yahoo.co.jp/articles/f18646e43b14e5e80771997fe57bcb365942b70d
参考動画はコチラ↓↓
続いて、合場容疑者についての情報です。
名前 合場邦章
年齢 45歳
職業 伝送エンジニア
住所 横浜市鶴見区仲通
Facebook 同姓同名のアカウントが見つかりましたが、本人のものと断定することはできないため掲載は控えさせていただきます。
会社のシステムから秘密データを不正取得しようとすれば、必ず記録(ログ)が残るそうです。
そんな怪しい動きをした後に転職した・・・となれば怪しまれるのは当然でしょう。
システムのプロの犯行にしては、ちょっと計画が甘かったのではないか?という気がしました。
まさかとは思いますが、データを持ち出すことが採用の条件だった・・・なんてことはないですよね。
ネットではこんな声が上がっていました.
この人は楽天に転職できるくらいだからそれなりに有能だったハズなんだろうけど、実は思慮不足だったんだな。
まさか情報持ち出しが入社の条件じゃないよね?
或いは、持ってきたら特別報酬が約束されてたとか。
証拠が残るこんなやり方するとは…呆れますね。
三木谷さんは何かコメント出さないのかな。
>営業秘密に当たる5Gの技術情報ファイルをメールに添付して自分自身に送信し、営業秘密を不正に持ち出した疑い
どうしてこんな足がつくような方法をとったのか疑問しかない。バレないとでも思ったのだろうか。
(Yahoo!ニュースコメント欄より引用)
問われる罪は?
合場容疑者は不正競争防止法違反(営業秘密領得)の容疑で逮捕されています。
第二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは二千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
三 営業秘密を営業秘密保有者から示された者であって、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、次のいずれかに掲げる方法でその営業秘密を領得した者
(引用元:不正競争防止法違反 第21条)
意外と身近にもいるかも?産業スパイの実態とは
今回のように、ある会社の秘密情報を不正に複製して持ち出す犯人のことを「産業スパイ」と言います。
あるライバル企業の優れた技術を真似っこしたいけど、技術的にもコスト的にもそれが難しいという場合、その技術を丸ごと盗めたらラクですよね。
ソフトバンクでは、過去にも機密漏洩事件が起きていました。
⇒ 参考:ソフトバンク機密漏洩事件、ロシア元外交官を書類送検
しかし、こういった産業スパイ事件は今となっては決して珍しいことではありません。
過去にもこんな事件が起きていました。
IBM産業スパイ事件(1982年)
日立製作所、三菱電機の社員らがIBMのコンピューターと周辺の機密情報に対する産業スパイ行為をおこなった。
新日鉄住金VSポスコ(民事訴訟2012年)
新日鉄住金が26年かけて開発した高機能鋼板製造技術を、日本人従業員が業務提携をしている韓国の業者「ポスコ」と共謀の上、不正に流出。300億円の賠償金で和解。
東芝VSハイニックス(民事訴訟2014年)
フラッシュメモリの製造技術を、2008年元技術者が無断で複製し、韓国の半導体メーカーハイニックスへ開示。330億円で和解。2014年、日本人従業員を逮捕。
引用 https://www.motex.co.jp/nomore/column/4655/
スパイというと、鍵がかかった棚から深夜に書類を盗み出す・・・みたいなイメージがあるかもしれませんが、今はメールで送るのが主流なんだとか。
ウィルスが入ったファイルをメールで送り、ウィルス経由で情報を吸い取るシステムになっているんだそうです。
そして、注目すべきはコチラの情報です。
経済産業省のデータによると、「情報漏えい者に多いのは、中途退職者」とあります。
あくまで推測ですが、定年までいるつもりだったのにリストラに遭ってしまった、意図せず早期退職になったり、なかなか役職が上がらなかったりといった会社への不満があるような人が、産業スパイに転じてしまうのではないでしょうか。
あとは、今いる会社には自分のスキルを認められなかったけれど、外国や他の企業から求められることで承認欲求から心が揺らぎ、協力してしまう。
そんな心苦しい背景が想定できますね。
引用 https://www.motex.co.jp/nomore/column/4655/
今回逮捕された合場容疑者も、ソフトバンクに対して何かしら不満を抱えていたのでしょうか。
2004年入社で2019年末まで在籍していたということですから、15年もいたわけですよね。
15年あれば、いろいろなことがあったでしょう。
やはり処遇に不満があったとか、スキルが認められなかったとか・・・、そこに楽天からの転職話があり、”お土産”として機密情報を持ち出してしまったのか。
ソフトバンクの情報管理体制がどのようなものだったのかはまだ明らかにされていませんが、会社によっては、サーバーのログインパスワードが全社員共通のものだったりすることもあるのだとか。
マル秘情報が「マル秘」になっていないというのも産業スパイに狙われやすいポイントのようです。
対策として、こんなことが推奨されています。
- 従業員をしっかり管理する!
- 管理職管理者は必ず複数人設置する!
- ID、パスワード設定。セキュリティのアップデートは最新版にする!
- ライバル会社から疑惑をかけられないこと
引用 https://www.motex.co.jp/nomore/column/4655/
今回、合場容疑者はライバル会社である楽天に転職しているわけですよね。
やはり世間はどうしても楽天に疑惑の目を向けてしまうのではないでしょうか。
今後、楽天モバイルがどんな対応に出るのか、そこも注目していきたいところですね。
ただ、転職者のなかには、全く悪気なく前社で得たノウハウを使って新しい製品を作り出してしまう場合もあります。
何が秘密で、何が秘密ではないのか。
その線引きも曖昧になっている可能性もありますし、今後は会社(特にIT系は)のセキュリティや社員教育のあり方(例:秘密情報の線引きをハッキリさせる、「転職しても秘密情報は漏らしません」と誓約書を書かせる・・・等)も見直していかなければいけないかもしれません。
まとめ
ソフトバンクで起きた機密情報持ち出し事件についてまとめました。
ポイントを整理します。
- ソフトバンクの高速・大容量通信規格「5G」に関する営業秘密を不正に持ち出したとして、合場邦章容疑者が不正競争防止法違反(営業秘密領得)容疑で逮捕された
- 合場容疑者はソフトバンクから同業の「楽天モバイル」に転職している
- 産業スパイ事件は過去にも起きており、会社を守るためにはセキュリティや社員管理を徹底する必要がある、
他人事のように感じるかもしれませんが、個人情報の漏洩なども同じような仕組みで起きています。
私たち消費者にとっても他人事ではないのです。
いまや、情報は莫大なお金に換えられるほどの価値があるものとなっています。
会社も、私たち一人ひとりも、お財布を守るのと同じ感覚で情報も守っていかなければなりません。
それはさておき、今後の5G競争の行方も気になるところですね。
楽天モバイルの対応に注目していきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました!