今日取り上げるのは、三重県名張市の資材置き場で今年5月、36歳の男と2歳の娘の遺体が見つかった事件についてです。
警察は父親が無理心中を図ったとみて、娘を殺害した疑いで容疑者死亡のまま書類送検しました。
親が子供を道連れにして自殺する事件は過去にも多数起きていますね。
そこには、子供を自分の「モノ」として扱う日本ならではの悪しき親子観が見て取れます。
事件の概要をまとめると共に、日本で子どもを犠牲にした無理心中が起きやすい根本的な理由についても見ていきますので最後までお付き合いください!
三重県・名張市 36歳父親 子連れ無理心中事件についての概要は?
事件の概要についてはコチラの記事でもすでにまとめています。
三重県名張市で36歳男性が2歳次女と無理心中?事件?生き残った場合に問われる罪も知っておこう
今回は、東海テレビの報道内容を元に、新たに明らかになったことをまとめていきます。
2020年5月、三重県名張市下小波田の資材置き場で、36歳の男と2歳の娘の遺体が見つかった。
遺体の近くに停まっていた車の中から血痕と血のついた包丁が見つかっていることから、警察は父親が車の中で娘を殺害後に自殺を図った無理心中だったと見ている。
警察は、現場の状況から父親が娘を殺害した疑いが強まったとして、5日容疑者死亡のまま書類送検した。
引用 https://news.yahoo.co.jp/articles/7aa8698453acd03837499959ee6cb01df1d42c6a
当初は事件の可能性も視野に入れて捜査していましたが、そうではなく自ら選んだ死だったのですね・・・。
5月と言えば、まだコロナ自粛期間中で、急に仕事を失った方も多かった時期でしょう。
この父親は伊賀市の工場従業員だったとのこと。
依然として製造業の雇用が厳しい状況にあることを鑑みれば、雇い止めなどがキッカケで人生を悲観してしまったのかもしれません。
ただ、だからといって子どもを道連れにするのは罪深い行為ですよね。
この男性には妻と長女もいましたので、「なぜ次女だけを道連れにしたのか」という謎も残されています。
ネット上でも、この点を疑問視する声が多く上がっていたのが印象的でした。(Yahoo!ニュースコメント欄から引用)
母親が、夫と娘が帰宅しないみたいな感じで捜索願出してたような?
父親が次女を連れ出し無理心中したのでは?って報道があったはず。
うちは息子だけど事件当時2歳になったばかりで、こんなに可愛い盛りの子を刺して無理心中なんてよっぽど思い詰めてたのかな、でもどうして奥さんと上の子残したのかな、って思ったのを覚えてる。
残された奥さんと長女はせめて少しでも幸せになってほしい。
たしかに男手ひとつで女の子を育てるのは大変。
ドラマのようにいくと思ったら大間違いなのだが、命を勝手にとっていい訳がない。
親なら子の幸せを願い、別の手を打って欲しかった。
ご冥福をお祈りします。
事件現場について
事件は、三重県名張市下小波田の資材置き場で起こりました。
なぜ子供を道連れに?無理心中の根本にある日本特有の悪しき親子観とは
日本ではこういった事件は決して珍しくありません。
しかし、海外では仰天されるようなニュースだということをご存知でしょうか?
1985年に、アメリカカリフォルニア州で、夫に浮気された日本人妻が子供を連れて自殺するという事件がありました。
子どもは亡くなり妻だけが助かったのですが、日本だと「可愛そう」「よほど追い詰められていたんだね・・・」という共感的な反応をする方が多いでしょう。
しかし、アメリカでは違ったんです。
当時の、ヘラルド・エグザミナー紙が報じた内容を振り返ってみましょう。
母親が愛情から子供を殺すことは極めてまれ。
あったとしてもそれは憎しみからで、狂気のさたか、身勝手な残虐行為として非難される。
ところが、日本では親子心中が年間四百件もある。
しかも、自分だけ死ぬより、子を道連れにする母親の方が慈悲深いとされる。
これは日本社会では就職、結婚などのさい、以前、親のない子が差別される風潮があるからだ。
引用 https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1806/12/news055_3.html
確かに日本では、無理心中で親だけが生き残った場合、「子供を失ったことで十分な制裁を受けた」として執行猶予がつく場合が多いです。
日本は無理心中に対して考え方が甘いのかもしれません。
既出のITメディアビジネスONLINEでは、国民的ドラマ『おしん』を例に出し、
「近代の日本で”子ども”とは、間引く、殴る、働かす、売り飛ばす、が当たり前の扱いで、それらの虐待を乗り越えた者が”立派な大人”になれると信じられていた」
と痛烈にディスっています。
「それは子供を”親の所有物”として見ているからだろう」と。
では、海外ではどうなのか?
親とはいえ、子どもにタバコの煙を強制的に吸わせるのは「虐待」というのが、世界では常識である。
例えば、親であっても子どものいる自動車内で喫煙することを罰則付きで禁じているのは、米国ではカリフォルニア州やオレゴン州など8つの州、オーストラリア、カナダ、イングランド、フランス、バーレン、キプロス、モーリシャス、南アフリカ、アラブ首長国連邦など例を挙げればきりがない。
(中略)
親に養ってもらっている「所有物」なのだから文句など言わず、親が吸っているタバコの煙を吸い込むべし。
そんな伝統的親子観に、リベラルと呼ばれる人々でさえいまだとらわれていることが、この「日本人特有の病」の根深さをよく物語っている。
引用 https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1806/12/news055_3.html
海外では、受動喫煙さえも虐待になってしまうのですね・・・。
それと比べたら、日本の意識は「子供を守ること」よりも「親の権利」を主張することに偏っているように感じます。
ただ、「子供は親の所有物じゃないんだから、道連れにするなんてとんでもない!」「子どものために死ぬ気で生きろ」という綺麗ごとで片づけてしまえる問題でもないのです。
なぜなら、子どもと共に生きることを選択したとしても、今度は虐待してしまうリスクがあるから。
以下のデータからわかるように、無理心中ではなく虐待で命を落としている子供も相当数いるわけです。
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引用 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65903?page=3
引用 https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00704/
子どもを道連れにして死を選ぶ親もいれば、日々のフラストレーションを子供に向けて殺してしまう親もいる。
無理心中を思い留まらせることができたとしても、今度は家で虐待をするかもしれない・・・。
それらは全て、親が子供を「自分のモノ」という目で見てしまう日本人ならではの親子観に起因する問題なのかもしれません。
これは他人事ではなく、筆者自身も、今これを呼んでいるみなさんも。
自分ではそんなつもりがなくても、我が子をどこか「自分の所有物」として見てはいないでしょうか。
日本がこれ以上「子供が生きにくい国」にならないように、私たち一人ひとりがまずは自分の行動を自覚することから始めることが大事なんだと思います。
まとめ
三重県名張市で、36歳の男が2歳の娘を殺害し自殺した事件についてまとめました。
ポイントを整理します。
- 2020年5月、三重県名張市下小波田の資材置き場で、36歳の男と2歳の娘の遺体が見つかった
- 警察は、父親が娘を殺害した疑いが強まったとして、容疑者死亡のまま書類送検した
- 日本で無理心中が多い背景には、「子供は親の所有物である」と考える日本独特の親子観がある
「子どもは血のつながった他人」
・・・以前、子育てについて友人に相談した時、こんなアドバイスをもらって妙に納得した記憶があります。
血がつながっているとはいえ相性の合う・合わないもありますし、なにより子供の人生は親の人生とは別物です。
親にできることは、結局、「お金を出してあげること」「うまくいくように願うこと」くらいなんですよね・・・。
所有物扱いは許されない。
何が原因か分からないけど、貧困なら
それはそれで相談する余地はある。
他の理由でも解決しようとする努力を
何かしたのか?
殺す、のは解決じゃない。
ヤフコメでもこんなコメントがありましたが、なにがあろうとも「殺す」は正解ではありません。
どんな状態になったとしても、親として、せめて子供の未来を願うことだけは諦めたくないと強く思います。
改めまして、亡くなった親子のご冥福をお祈り申し上げます。
最後までお読みいただきありがとうございました!