今日取り上げるのは、埼玉県さいたま市で26歳の女性が60歳の母親を殺害した事件についてです。
市ノ沢茉衣容疑者(26)が逮捕されました。
数年前から体調を崩したは母親の面倒を見ていたということで、「介護に疲れた」と供述しているとのこと。
なぜ殺してしまうほどまでに追い詰められてしまったのか、他に頼れる人はいなかったのか?
現場の状況や、自宅介護の現状、介護ストレスを上手に解消する方法などについて見ていきますので最後までお付き合いください。
埼玉県さいたま市 母親殺害事件の概要は?
事件について報じた埼玉新聞の内容を元にして、概要をまとめます。
- 2020年5月5日、さいたま市見沼区春野1丁目に住む市ノ沢茉衣容疑者(26)が自宅にて母親の良子さんを殺害した
- 5月6日2時25分頃、本人が「母の首を絞めて殺した」と110番通報した
- 良子さんは居間の布団の上にあおむけに倒れて死亡していた
- 茉衣容疑者は数年前から母親の面倒を見ており、「介護に疲れた」と供述している
続いて、茉衣容疑者についての情報です。
名前 市ノ沢茉衣
年齢 26歳
職業 無職
Facebook 本人のものと思われるアカウントはありませんでした。
茉衣容疑者は母親と二人暮らし。
父親や兄弟、親戚など気軽に頼れる相手はいなかったのでしょうか。
また、「無職」とのことですのでどうやって生計を立てていたのか、その経済状況なども気になります。
介護が原因で離職に追い込まれてしまったのか、あるいは今の時期ですとコロナの影響で職を失ってしまった可能性も考えられますね。
犯した罪は重いですが、人生を楽しみたい盛りの年頃にたった一人で介護の全てを背負っていたのだとしたら、彼女一人を責めることはできないでしょう。
事件現場は?
事件はさいたま市見沼区春野1丁目で起こりました。
問われる罪は?
今回は、「殺人罪」の罪が適用されます。
(殺人)
第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。(引用元:刑法第199条)
自宅介護の割合は?どんなことで悩む?
「親の介護」という問題に直面した時、「自宅で看るのか、それとも施設を利用するのか」という点でまずは悩む方が多いですよね。
コチラの資料↓↓を参考にしてみると、ある程度の状態(要介護2)くらいまでは施設は利用せず自宅での介護のみで乗り切ろうとする方が多いようです。
引用 https://www.minnanokaigo.com/qa/no48/
要介護2とは?
排泄や食事の際に、見守りやサポートなどなんらかの介助が必要な状態。
立ち上がりや歩行、身だしなみや掃除などの日常生活にも見守りやサポートが必要です。
引用 https://i.ansinkaigo.jp/knowledge/care-level2
要介護3になると施設を利用する方がグッと増えますね。
これは、特別養護老人ホームへの入居が「原則要介護3から」と決められているからでしょう。(※認知症など、例外もあります)
要介護3になると一人で日常生活を送るのはほぼ不可能になってきますので、これは仕方ありません。
ただ、要介護のステージが4まで上がっても約半数の方は自宅で介護していることは要注目です。
その要因としては、なんといっても施設介護は経済的な負担が非常に大きいということが挙げられます。
要介護3の方が使える介護サービスの上限は、269,310円
自己負担額は所得に応じて、1~3割です。
<上限までサービスを利用した場合の1ヵ月の金額>
- 1割負担:26,931円
- 2割負担:53,862円
- 3割負担:80,793円
引用 https://i.ansinkaigo.jp/knowledge/care-level3
また、本人が施設への入居を強く拒むケースもあり、無理強いできないという理由で自宅介護を選ぶ方もいます。
今回の事件の母親がどのステージにあったのかはわかりませんが、日常生活のほぼ全てをサポートしなければならない状態の人を一人で丸々お世話するのは並大抵のことではないでしょう。
介護ストレスを上手に解消するには?
では、自宅介護の心理的、肉体的負担を少しでも軽減するにはどうしたら良いのでしょうか。
- 「自分がやらなければ」という気持ちを捨てること
- 自分のストレスに気づくこと。弱音を吐くことを許すこと
- 介護に正解はないのだ、と良い意味で開き直ること
- 行政のサービスについて正しく知り、積極的に利用すること
- 誰か一人でも良いので、すぐに相談できる専門家とつながること
- 自分自身が楽しめる新しい趣味を持つこと
引用 https://www.unimat-rc.co.jp/media/stress-care#i-21
筆者も、親類の介護を身近で見てきたので実感としてよくわかりますが、親の介護に明け暮れていると
「自分が楽しむなんて親に申し訳ない」
「自分が外出したら親はどうするんだ」
と、自分で自分をどんどん追い込んでしまうことが多くなっていきます。
真面目な人ほどそういった傾向が強いので、自覚がある方は注意したほうが良いですね。
身近でそんな変化に気づいてくれる人がいれば良いのですが、今回のようなケースだと、それは難しいでしょう。
だとしたら、自分で自分のストレスに気づき、溜めないようにケアしていくしかありません。
今回のような事件を防ぐためにも、介護に身を置く人は自分自身の変化にも注意を向けることが大事です。
ネットの反応は?
今回の事件に関して、ネットの反応はどのようなものがあるでしょうか?(Yahoo!ニュースのコメント欄から引用)
数年間お世話してたんですね。
私は介護を経験したことがないので、最初こちらのニュースを見たときは驚きました。でも色々な方のコメントを拝見し、介護は私が思っている以上に大変なことであるということを改めて考えるきっかけとなりました。
当事者、または辛い介護を経験した方にしか分からない気持ちだと思います。
もしいつか自分が家族を介護しなければならなくなったら。私の考えはどう変化するのだろうか。
私は自分の家族が大好きだし、今まで愛情たっぷりで育ててくれた家族に心から感謝している。でも辛くて辛くて殺したくなってしまう感情をもし抱いてしまったら。
こんなことを考えるだけでも辛く悲しみがこみ上げます。現実から目を背けたいけど、今後は考えなければいけない大切なことだと感じてます。
自分も医療従事者ですが、たまに認知症を患った患者さんが入院してきますが、なぜ入院しているかわからないから騒いだり、喚いたり‥あげたらきりがないです。
娘さん、たった1人でお母さんの介護をしていたんですね。友達は皆、オシャレして自分の人生を楽しんでいる。介護はいつ終わるかわからない。このままずっと‥と思ってしまったのでしょうか?相談できる身内がいたら、よかったでしょう。施設に預けられる資金もなく、辛かったでしょうね。
・・・こういった意見がありました。
まとめ
以上、埼玉県さいたま市で起きた介護疲れが原因と思われる殺人事件についてまとめてきました。
ポイントを整理します。
- 埼玉県さいたま市で26歳の市ノ沢茉衣容疑者が60歳の母親の首を絞めて殺害した
- 茉衣容疑者は数年前から母親の介護をしていて、「疲れた」と供述している
- 自宅で介護をするケースは非常に多く、一人で担う人の心理的・肉体的・経済的な負担を軽減する策が必要
衝動的にやってしまったのか、それとも計画的な犯行だったのか。
いずれにしても、茉衣容疑者が心理的にかなり追い詰められた状態にあったことは確かです。
こうなる前に、行政などに相談できなかったのか。
あるいは、すでに相談はしていたのか。
中国でも、息子が介護を苦に母親を生き埋めにするという事件が起きていますし、この問題は人種を問わず協力して解決策を考えていくべき問題です。
自分が親を介護する立場になった時、さらにはその先、自分が子供に介護される立場になった時のことも考えて、「どうするのがお互いにとってベストなのか」を元気なうちから家族で話し合っておくことが非常に大切だと感じます。(これも終活の一環!)
お互いのために、”先立つもの”をしっかり用意しておくことも忘れずに!!
亡くなった良子さんのご冥福を、そして加害者となってしまった茉衣容疑者の未来が明るいことを心からお祈り申し上げます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。